●3月1日付けでNTTグループの映像系事業を御社に集約するとともに、社名をぷららネットワークスからNTTぷららに変更しましたが、経緯を教えて下さい。
板東 NTTグループの中期経営戦略により、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が上位レイヤを担当することになり、ISP、ポータル、映像系などのサービスを担う企業がNTTコムに集められました。そのなかで特に映像系をどうしていくかで2つの大きな課題があったのです。
まず、NGN(次世代ネットワーク)の商用サービス開始時期に合わせて、標準方式を視野に入れた新しいIPTVサービスを投入する必要がありました。
もう1つはグループ内の従来の映像系サービスをどうするかです。
●御社が従来から提供している「4th MEDIA」、NTTコムの「OCNシアター」、オン・デマンド・ティービーの「オンデマンドTV」と3つがあり、ユーザーからみれば、どれがNTTの映像サービスなのか分かりにくい部分があったと思います。
板東 その通りです。NTTグループとしてみても、それぞれに映像配信プラットフォームがあり、ネットワークの構築やコンテンツの調達、ガイドブックの製作、さらにはユーザーの獲得も各社が独自に実施していました。そういう状況は運営上、非常に効率が悪く、3サービスを1つに集約させることでグループ内の意見が一致しました。そこで、上位レイヤ事業を統括するNTTコム主導で、当社に3サービスを集約させることが決まったのです。
●放送サービスはオンラインティーヴィと合併して存続会社となった電気通信役務利用放送事業者であるアイキャストが担当されるのですよね。
板東 放送サービスとVODは一体的に提供するのが好ましいのですが、さまざまな事情があってこういう形になりました。ですが、当社が20%出資し、両本社のロケーションも池袋の同じビルになりました。当然のことながら、両社間の業務上のファイアウォールはきちんとしたうえで、オペレーション上は一体となってサービスを提供できるよう、今後に向けて連携を強化していきます。
●集約は具体的に、どのようなスケジュールで進めたのですか。
板東 まず、新しいIPTVサービスを投入し、それに既存の3サービスを巻き取り、プラットフォームもサービスも1本化するという計画を立てました。本格的に着手したのは昨夏ですが、NGNの商用サービス開始が3月に定まっていましたので、急ピッチで進めました。3月1日にOCNシアターとオンデマンドTVの事業譲渡が完了しましたが、従来の3つのサービスをすぐに止めるわけにはいきませんので、現在は各サービスのプラットフォームもそのまま残っています。
今後、7月末までに3サービスのユーザーすべてに「ひかりTV」へ移行していただく計画で、これで初めてサービスとプラットフォームが1本化できます。
大阪でも地デジ再送信を予定
●ひかりTVのサービスをみると、放送が総計75チャンネル、VOD(ビデオオンデマンド)の総本数7000本以上(今夏1万本以上めど)というように、かなり充実した内容になっていますね。
板東 既存3サービスの“いいとこどり”を念頭にメニューと料金を設定しました。放送とVODの両方を十分に楽しめる「お値うちプラン」は、基本+ベーシックで52チャンネル、見放題のVODが約4000本(今夏約5000本めど)という内容が月額基本料3675円とチューナー(セットトップボックス、以下STB)月額レンタル費525円でお楽しみいただけます。また、放送、VODがそれぞれ楽しめるプラン「テレビおすすめプラン」「ビデオざんまいプラン」は月額2625円で提供します。さらにオプションでプレミアムチャンネルやオプションVOD、月額更新型のVODを用意し、今夏には1万3000曲のカラオケも提供予定です。
●NGNの商用サービス開始からは少し遅れましたが、本日(5月9日)、東京都内で地上デジタル放送のIP再送信を開始しました。ですが、NGNの商用サービスは大阪の一部でも始まっています。大阪やその他のエリアでの見込みはどうですか。
板東 現在、大阪府下でも地デジのIP再送信が実現できるよう、交渉中です。詳細はお話できませんが、われわれの感触では、そう遠くない時期に大阪の全テレビ局に同意していただけると思います。そうなれば、速やかに提供を開始する予定です。
その他の道府県については、NGNの展開状況等を踏まえつつ交渉していきたいと考えています。
●ひかりTVのサービス開始から1カ月が経過しましたが、初期の手応えはどうですか。
(聞き手・藤田 健)
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