●NTTドコモの冬モデルの中で富士通の「F-01A」は、GfK
Japanの販売実績調査で1位を維持するなど好調です。どのような点が評価されているのでしょうか。
佐相 F-01Aは、タッチパネルやフルブラウザUIなど携帯電話の先進的な機能を具現化するとともに、防水やワンセグといった基本機能も押さえています。
なかでもフルブラウザに関しては、プロセッサの高速化に取り組んできた結果、当社の従来機種と比べて“サクサク”動作すると好評です。画面を横にしてタッチパネルで操作する「ビューアスタイル」など使い勝手にも優れています。これらの特長を分かりやすくアピールできたことが、好調な売れ行きにつながっているのではないかと思います。
●「F-02A」ではジュエリーブランドの「4℃」、「F-04A」ではファッションブランド「UNITED
ARROWS(ユナイテッドアローズ)」とのコラボレーションモデルを投入しています。NECは「サマンサタバサ」「グラマラス」とコラボレーションを手がけていますが、今後、御社でもこうした端末に力を入れていくのですか。
佐相 これまで「F702iD」や「キッズケータイ F801i」でデザイナーとのコラボレーション端末を出したことはありますが、企業とのコラボレーションは今回が初めてです。
当社の携帯電話開発は、「ブロードバンドリーダー」「ユニバーサルデザイン」「デザイントレンドリーダー」の3点に重点を置いています。
ブロードバンドリーダーとは、インターネットのケータイ化に向けたUIを追求することであり、ユニバーサルデザインは基本機能をより使いやすくするユニバーサルデザイン技術を全機種に展開したり、防水対応機種を進化させることを意味します。また、デザイントレンドリーダーとは、異分野のデザイナーや国内外のデザイナーとのコラボレーションによりデザイン性の向上を図り、競争力強化につなげることです。
基本的に、機能を犠牲にしたデザインはありえません。そこをもう少し踏み込んで、コンシューマーにデザインでアピールしようというのが狙いで、今回のシリーズで少しは表現できたのではないかと思います。
5秒でアピールする製品を目指す
●富士通の携帯電話というと、デザインよりも機能重視という印象がありました。
佐相 従来の富士通の携帯電話はどちらかというと“質実剛健”で、「使ってみるとよさがわかる」と言われていました。しかし、それは反省材料であり、“5秒アピール”つまり「すべての機種の特長を一言で説明できるようにしなければならない」と社内では言っています。
今回の冬モデルでは、F-01Aは「ハイスペック防水ケータイ」、F-02Aは「2インチ・ドレスアップモニター搭載+4℃コラボ」、F-03Aは「世界初ラウンドタッチパネル搭載のスライドケータイ」、F-04Aは「世界最薄防水ケータイ+UNITED
ARROWSコラボ」というように、骨太な特長をアピールするようにしています。
●富士通の携帯電話は「らくらくホン」が長らく牽引してきました。シニア向け端末の分野でも競争が激しくなっていますが、らくらくホンについてはどのように取り組んでいくのですか。
佐相 らくらくホンのコンセプトは明確で、「見る」「聞く」「話す」あるいは「持つ」といった携帯電話の基本機能を深掘りすることです。似たようなコンセプトの端末が他社からも出てきていますが、基本機能については当社に“一日の長”があります。そうした強みを守りながら、デザインやプロモーションでエンドユーザーにもっとアピールしていきたいと考えています。他社に追いかけられる存在になるのはいいことなのかなとも思います。
●らくらくホンが高機能化していることで、通常端末との差別化が難しくなっているのではありませんか。
佐相 らくらくホンには「ボリュームレンジ」「エントリー」「プレミアム」の3種類があり、それぞれ想定したターゲット層でほぼ予想通りの台数が売れています。
プレミアムには高画素数カメラやワンセグ、フェリカなど旧90xシリーズと共通する機能が搭載されています。ただ、これらは大半のらくらくホンユーザーにとっては関係のないものなので、ボリュームレンジやエントリーでは「見る」「聞く」「話す」を進化させていきます。
さらに昨年は、「安心・安全」というキーワードで最も関心の高い健康機能に対応した「らくらくホンX」を発売しました。歩数計や脈拍計を搭載しているほか、体組成計や血圧計と連携して毎日のデータを管理できます。
このように「正統進化」と「横展開」をキーワードに、これからもらくらくホンは継続的に取り組んでいきます。
●今回のモデルからドコモでは従来の90xシリーズ・70xシリーズを見直し、「プライム」「スタイル」「スマート」「プロ」の4シリーズを新設しました。端末を開発する立場から何か変化はありましたか。
(聞き手・土谷宜弘)
続きは本誌をご覧下さい