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2011年9月号

NTTドコモ
代表取締役社長
山田ヘ持氏
スマホ強化でCS1位を維持する
総合サービス企業に向けて進化

昨年からスマートフォンに大きく舵を切ったNTTドコモ。
社内の組織から販売現場まで、
スマートフォンに軸足を置いた体制へと急速に移行している。
山田ヘ持社長は就任以来、
目標に掲げてきた「顧客満足度1位」を昨年実現した。
今度は「スマートフォンユーザーの満足度向上」を合い言葉に、
CS1位の継続を目指す。

Profile

山田ヘ持氏
(やまだ・りゅうじ)
1948年5月5日生まれ。73年3月大阪大学大学院工学研究科通信工学卒業。同年4月日本電信電話公社入社。99年1月日本電信電話株式会社西日本移行本部設備部長。同年7月西日本電信電話株式会社設備部長。2001年6月同取締役設備部長。02年6月同常務取締役ソリューション営業本部長。04年6月日本電信電話代表取締役副社長。07年6月NTTドコモ代表取締役副社長。08年6月同代表取締役社長、現在に至る

夏商戦でもスマートフォンが非常に好調です。この勢いでは、年間の販売計画600万台を大幅に上回るのではありませんか。

山田 7月中旬時点までのスマートフォン販売台数は162万台で、すでに昨年度の販売台数の半分を超えています。このままのペースで行けば、600万台という目標は突破する可能性が高いと見ています。

携帯電話は端末と回線、サービスを一体で提供して付加価値を高めてきましたが、スマートフォンではどのような点が強みになるのですか。

山田 スマートフォン時代のドコモの強みは、まず端末ラインナップの豊富さです。お客様の中には、グローバルモデルがいいという方もいれば、ワンセグやおサイフケータイなど日本独自仕様を求める方もいます。さまざまな機種を揃え、その中から自分に合った端末を購入していただきたいと考えています。
 2つ目がサービスで、iモードのサービスを何としてもスマートフォンに移植しようとしています。現状では、携帯電話を使っている方がスマートフォンに買い替えると、それまで契約していた公式コンテンツが解約になってしまいます。そこで、冬モデルからはiモードの課金・認証の仕組みをスマートフォンに導入する計画です。これにより、お客様は機種変更時に窓口で確認するだけで、引き続きスマートフォンでもiモードのサービスを利用することができるようになります。
 3つ目の強みが、アフターケアやお客様対応です。スマートフォンのコールセンターは昨年、応答率が50%を切ってしまい、お叱りを受けました。今年はiモード対応者の一部をスマートフォンに移すとともに、スマートフォン対応者を増員した結果、3〜6月の応答率は80%を超えています。
 そして4つ目はネットワークで、スマートフォンの機能がどんなに優れていても、ネットワークが充実していなければだめだと思います。

法人は中堅中小とM2Mに期待

サービスでは、iモードに多くのコンテンツがありながら、スマートフォンのドコモマーケットに活かしきれていないように見えます。

山田 まさにその通りで、我々にはiモードという約3万点の素晴らしいコンテンツがあります。これまでスマートフォンで活用できなかったため、他社に差をつけることができませんでした。
 しかしスマートフォンに移植することで、スマートフォンのコンテンツも一気に豊富になります。iモード向けにコンテンツを提供していたプロバイダーも、月額課金・認証の仕組みが入ることで、スマートフォン向けにも提供しやすくなるはずです。

Andoroidをターゲットとしたマルウェアが急増しており、セキュリテイ対策の重要性も高まっています。

山田 確かに、ウイルス対策は今後しっかり取り組んでいかなければならない課題です。まず、7月1日からマカフィーのウイルス検知サービス「ドコモ あんしんスキャン」を開始しました。無償で提供していることもあり、お客様からご好評をいただいています。
 今後アンチウイルスソフトの提供も検討していますが、動作速度が遅くなってしまいます。かといって、世界中にあるすべてのアプリのウイルスをチェックすることは不可能です。そこで、ドコモマーケットで紹介しているアプリについては安心・安全を提供していきたいと考えています。

スマートフォンが好調な一方、タブレット端末は独自のコンテンツがまだないこともあり、市場が盛り上がるまでにもうしばらく時間がかかるのではありませんか。

(聞き手・土谷宜弘)
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